カチャリ。 今日も誰かが私をひねる。
「いってきまーす!」の声と一緒に、軽やかに回されると、なんだか誇らしい気分になる。
でも時々、力いっぱいグイッと回されると、ちょっと痛いんだよね…。
子どもたちは背伸びして私に手を伸ばす。
指先がチョンと触れると、くすぐったくて笑いそうになる。
ある日、大きな荷物を抱えた人が来た。
私を握る手が汗でじっとりしていて、ちょっと不快…。
でも「ただいま」と言ってくれると、許してしまう。
夜になると、私の出番は少なくなる。
静かな時間が流れて、誰も触れてくれない。
少し寂しいけれど、休憩できるのも悪くない。
ある朝、見知らぬ人がやってきた。 工具を持って、私を外そうとしている⁉
えっ、私、取り替えられちゃうの?
ドキドキしていたら——
新しい私が取り付けられた。
ピカピカで、少し硬い。
でも、前の私の気持ちもちゃんと受け継いでいる。
だって、ここで人の出入りを見守る役目は変わらないから。
私はずっとここで、みんなの手を受け止め続ける。
だって私は——
ドアノブだから(▽)**


