『ぬくもりをつないで』
また冬がやってくる。
私は一年中働いているけれど、寒くなると特に忙しくなる。
朝から晩まで、家族のために動き続ける日々。
この家に来て、もう10年以上になる。
最近、少し疲れが出てきた。
あちらこちらが痛むようになって、動きが鈍くなることもある。
それ でも、止まるわけにはいかない。
みんなの生活がかかっているから。
そんなある日、見知らぬ人たちがやってきた。
私のことをろくに見もしないで、家主さんに言う。
「すぐに交換した方がいいですよ」
あれがいい、これがいいと、次々に新しいものを勧めてくる。
--私はまだ頑張れるのに。
家主さんは冷静だった。
その人たちをやんわりと帰してくれた。
ホッとした。
けれど、心のどこかで思う。
「私も、そろそろなのかもしれない」
数日後、信頼できる人が来て、私の状態を丁寧に見てくれた。
結果は…やっぱり、交換の時期。
ある日、優しい手が私をそっと外してくれた。
新しい仲間がやってきた。
これからは、彼がみんなの暮らしを支えてくれる。
私は静かにバトンを渡した。
ありがとう。そして――よろしくね。
……そう、私の名前は「給湯器」。
一年中みんなのためにお湯を届けてきたんだよ(#^.^#)