リフォーム・修理色々

INOKENナラティブ‼世代交代 シリーズ6

2026/02/16

私は長い間、この台所で火を灯してきました。

青い炎を揺らめかせ、深い器を温め、平たい鉄板を踊らせる――

それが私の誇りでした。

「トントントン」包丁の音に続き、静かに立ち上る熱。

立ちのぼる香り、弾む笑い声、そして「おいしいね」のひと言。

そのすべてを、私は揺れる光とともに見守ってきました。

けれど、時代は少しずつ形を変えていきます。

「火がないほうが安心だよね」

「掃除も楽だし、すっきりしている」

そんな声がやわらかく台所に広がっていきました。

ある日、工事の人たちがやってきて、私の隣に新しい存在が据えられました。

黒くて、つややかな一枚の天板。

炎は見えないけれど、確かな力で器を温める――

台所は、静かな輝きに包まれました。

私は少しだけ寂しくなりました。

けれど同時に、どこか誇らしくもあったのです。

この場所で、火とともに積み重ねてきた時間があったからこそ。

これからは、新しいかたちがこの台所を支えていく。

世代交代――

切なさと温もりが入り混じる、その瞬間。

私は、静かにバトンを渡しました。

そう、私は「ガスコンロ」。

そして彼は「IHコンロ」。

火から電気へ。

この家の台所は、次の時代へと歩み始めたのです。

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