リフォーム・修理色々

INOKENナラティブ‼世代交代 シリーズ4

2026/01/22

私は長い間、この玄関を守ってきました。

来訪者の気配を住まいへ届け、住む人の安心を支える――

それが、私の役目でした。

合図が鳴り、声が届く。

姿は見えなくても、声だけで人と人をつなぐことができた。

それで十分だと、私は思っていました。

けれど、暮らしは少しずつ変わっていきます。

「顔が見えた方が安心だよね」

「子どもだけでも応対できるようにしたい」

そんな声が、玄関の向こう側から聞こえてきました。

ある日、工事の人たちがやってきて、私の隣に新しい存在が置かれました。

黒くて、静かな画面。

声だけでなく、姿までも映し出すその目は、頼もしく見えました。

「これで安心だね」

「留守中でも様子がわかるんだって」

人々の表情がやわらいでいくのを見て、私は少しだけ胸がきゅっとなりました。

でも同時に、心の奥でそっと拍手を送っていたのです。

私がいたからこそ、この家は「声でつながる安心」を知った。

そして今、新しい彼が「姿でつながる安心」を受け取っていく。

世代交代――

それは、切なさと誇らしさが入り混じる瞬間でした。

私は静かに、役目を終えます。

玄関で、長い間、人の声を届けてきた–

私は、ボイスインターホン。

そして今、この家を玄関には、映る声があります。

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