私は、玄関の横にひっそりと埋め込まれている。
誰かが私の中に手紙を入れると、カタン…と小さな音が鳴る。
それが、私の一日の始まり。
新しいご家族が来てから、私はちょっと忙しくなった。
引っ越しの案内、電気や水道の契約書、近所の方からのご挨拶。
いろんな紙が、私の中に届くようになった。
ある日、小さな男の子が私の前でじっと立ち止まった。
「ここにサンタさんから手紙が届くんだよね?」って、目をキラキラさせて。
私はちょっとドキドキした。
だって、そんな大事な手紙を受け取るなんて…!
雨の日も、風の日も、私は濡れないように守られている。
でも、時々強い風が吹くと、私の中で紙がカサカサと踊る。
それもまた、私のちいさな冒険。
最近は、手紙よりもチラシが多くなったけど、 たまに届く手書きの封筒には、ちょっとだけ心が温かくなる。
私は誰にも話しかけられないけれど、 毎日、誰かの「想い」を受け取っている。
だって私は——
埋込ポストだから(▽)


